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2009年2月16日

本当にファンサービスになるのか

15秒ルール

 プロ野球のキャンプも真っ盛り。今年はWBCが行われるとあってメンバー候補の仕上がりが早く、それに引っ張られるように、他の選手もエンジンのかかりがいいようです。

 この時期、直接、キャンプ地に行くのがベストはもちろんですが、テレビ、紙面、担当記者の情報などいろいろ仕入れができて、楽しいものです。

 今年も球春の便りはあれこれと豊富ですが、各チームの動向とは少し違った話題に、目と耳が奪われました。いわゆる「15秒ルール」のことです。

 表面化したのは、8日でした。シート打撃に登板した日本ハム・ダルビッシュ投手が、シーズンに備えて調整中の二塁塁審から、投球間隔が長い、とクレームをつけられたこと。同投手はこのクレームに「野球にならない」と怒りを露わにした。

 この15秒ルールとは、今季から両リーグのアグリーメントに明文化された条項で、投手は走者がいない場合に捕手からの送球を受け15秒以内に投球動作に入らなければ1ボールを科せられる--というもの。

 試合のスピードアップが主な目的で、実行委員会で決められたが、当初の予想通り、現場、選手たちからは反発の声が。ダルビッシュの怒りに楽天・岩隈、ソフトバンク・斉藤投手らが、同様の異議を唱えた。

 この「15」は正確に言うならルールではなく、あくまで申し合わせ事項。公認野球規則の8・04では「投手が打者と正対してから12秒以内」と規定があり、こちらは全世界共通。ただ、アグリーメントと違うのは捕手からの送球を受けてから投球動作に入るまでの時間は明記されておらず、そのあたりは融通性があるとも言える。

 さて、この問題の本質だが、それが微妙に球趣がそがれることになっても、ファンの支持を得られなくても、決まったことは遵守しなければならないのかという点ではなかろうか。

 確かに試合時間の短縮はずっと球界のテーマだった。無駄な時間をそぎ落とすのは、各球団のトップが考慮すべきことだし、その方向を目指すのは正しい。

 しかし、ダルビッシュが言うように、野手の守備位置確認や、ロージンバッグに触れたり、打者との駆け引きでサインに首を振るのは、野球ならではの必要な手順ではないか。

 ファンは野球というスポーツの「間」も楽しんでいると私は思っている。例えば阪神リードの最終回2死、「あと1球」コールを全身に受け藤川が捕手のサインに首を振った。トラ党はまっすぐか、フォークか……と考えるのも楽しみ方の一つではないか。

 そんな「間」の妙を奪ってしまい、野球独特のキメの細かさを失いかねない申し合わせ事項、と感じられて仕方がない。

 中身が濃ければ、多少の時間がかかっても(3時間ぐらいが限度とは思うが)ファンは納得し、少年以下の人たちの帰宅時間も許容範囲ではないだろうか。

 決めたルールでも、不都合なら変えればいい。そのぐらいの柔軟性は日本プロ球界にあると思っている。


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浅岡真一「独断流」
浅岡真一(あさおか・しんいち)
 1950年3月24日、大阪生まれ。早大卒業後、74年、大阪日刊スポーツ新聞社に入社。4年近くの内勤を経て、78年から運動部記者に。近鉄を6年担当、その後、阪神担当に。85年のリーグ優勝、日本一を目のあたりにした。現場時代はその執拗な取材活動から「ゴキブリ記者」とも呼ばれた。89年から運動部、報道部デスク、運動部長などを歴任、その間もほぼ野球の世界で取材活動を続けてきた。編集委員、広島総局長、編集局次長、営業局長などを経て、04年8月から現場記者に復帰。趣味はスポーツ観戦、テレビのニュース、クイズ番組視聴。

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