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2008年1月29日

天理高校のユニークな選手起用法

センバツ記念大会

 高校野球の、いや、アマ野球の指導者は、かくあって欲しいなあ……という出合いがありました。

 1月25日、春のセンバツ野球大会の出場校の選考委員会が開かれ、奈良県から天理高校が、選出されました。3年ぶり、18度目の春の大会出場、夏の風物詩と合わせると41度目の甲子園大会への勇姿。部員たちはもちろん、学校関係者、OBの方々も吉報に喜びを素直に表していました。

 私はデスクの指令に従い、その天理に取材に行きました。旧制中学時代から数えて、学校創立100周年にあたる08年。だから、同校を応援する人たちも含めて、感動もひとしおなんだなあと肌で受けました。

 まあ、ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、事前にどの高校が選ばれるか、かなり程度、取材しているので、私にもターゲットを定めて行くように言われたのです。秋の県大会優勝、近畿大会ベスト8の天理が選ばれるのは確実だったのです。

 高野連、毎日新聞社から連絡が学校に入り、近隣のグラウンド、親里球場で練習中の部員たちに、知らされていました。一応、パターン通りに、まず森川芳夫監督(52)に話を聞きに行ったのですが、そこで聞いたのは、かなりユニークなものでした。

 「まだ、ベンチ入りの選手は決めていません。背番号(レギュラー)もね」。大会開幕は3月22日、2カ月弱しかないのに、競争原理、いや46人の部員のモチベーション、心技体の見極めを考慮してのセリフだったと、初対面の取材ながら感じました。

 「全員野球」がモットーの同部であるからこその方針だったのでしょう。例えば昨秋の大会では背番号1を付けた速球派の矢之投手をはじめ、身長188センチのサイドスロー・井口君など4投手が登板しました。「他にも“かくし球”もいますよ」と同監督は付け加えていました。

 「確かに、技術が劣っている子もいます。でも、彼らだっていいものは持っているのです。だから、その個性を伸ばしてやるのが私の役目でしょう」。監督としては10度目の聖地を踏みしめるとのことですが、コーチ時代を含めれば、30回ほど甲子園を経験しているとか。さすが、ベテランだな、と思いました。

 アマの指導者はどうあるべきか。私はプロ野球をメーンに取材活動をしてきましたが、いつも関心を持ってきたつもりです。野球以外のスポーツでもです。

 誰もがプロの一流になれるわけではありません。充実、熱中した青春時代を過ごし、その後の人生に良薬になるのが、クラブ活動の本質だと考えています。わずかしか学生スポーツの指導者には知り合いはいませんが、その人たちと、森川監督に同じ“匂い”を感じました。

 初戦突破がセンバツの第一目標だとも明かしてくれましたが、そうあって欲しいと願う一方で、負けてもいいじゃないですか。人はいい師に出会うことは大きな財産なのですから……。

浅岡真一「独断流」
浅岡真一(あさおか・しんいち)
 1950年3月24日、大阪生まれ。早大卒業後、74年、大阪日刊スポーツ新聞社に入社。4年近くの内勤を経て、78年から運動部記者に。近鉄を6年担当、その後、阪神担当に。85年のリーグ優勝、日本一を目のあたりにした。現場時代はその執拗な取材活動から「ゴキブリ記者」とも呼ばれた。89年から運動部、報道部デスク、運動部長などを歴任、その間もほぼ野球の世界で取材活動を続けてきた。編集委員、広島総局長、編集局次長、営業局長などを経て、04年8月から現場記者に復帰。趣味はスポーツ観戦、テレビのニュース、クイズ番組視聴。

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